唐突ですが、みなさんに質問です。
RS(アールエス)と聞いて何を思い浮かべますか?
Google先生や今なにかと話題のChatGPTに尋ねてみると、ウイルスの名前だのネットワーク用語だの、自動車のモデル名だの、それはもういろいろと出てきますが、ことタイレルの話に限っていえば、もちろんそれらはすべて的外れです。
”タイレルが以前販売していた、スカンジウム合金の700cロード”というお答えであれば、かなりのタイレル検定上級者でしょう。
あ、ちょっと待ってください。実をいえばこの答えもまだ完璧ではありません。
なぜなら…
今も”販売中”だからです。
「カタログにも、公式サイトにも載ってないじゃん!」
そんな声が聞こえてきそうですが、今回はこの”孤高”の存在のRSについて、イマイチご存じない方のためにもおさらいをさせてください。読み終えたあとは、きっとその魅力に取りつかれているはず…でしょう。
RSの発売は、今からさかのぼること17年前の2006年。実は販売を継続しているモデルとしてはPK1についで2番目に息の長い”ロングセラー商品”なのです。
まずは、2011年のカタログをパラパラとめくり、RSのページを覗いてみます。ちなみに、RSはこの年を最後にカタログから姿を消してしまいました。冬の時代に突入です。
10年ひと昔とはいいますが、現在のタイレルとはまた違った雰囲気をカタログから感じるのは私だけでしょうか。。なにやら新鮮です。
カタログからもお分かりのとおり、なんといってもRS最大の特長は、スカンジウム合金とその個性的なフレームデザインです。
スカンジウム合金について
スカンジウム合金とは、アルミにスカンジウムを混合したもので、一般的なアルミ合金と比べて軽量で剛性が高いのが特長です。ただし価格がネックで、当時の自転車業界では一部のハイエンドアルミモデルにのみ採用されていました。そのスカンジウム合金の中でも、RSに使われているEASTON製のSC7000は同社のなかで最軽量のチューブとして名を馳せていました。そういえば、絶賛販売中のCSiの前機種である「Si」も同じSC7000を使っていましたね。時代は変わっても、高価なアルミ素材であることには変わりません。
フレームデザインについて
タイレルファンなら一目瞭然、トップチューブを交差するシートステイが個性的なフレームデザインが特長です。シートステイの交差部やリアエンドの形状に見られる細かな技巧を見れば、作り手の熱い思いを感じるとともに、所有する喜びをも与えてくれるはずです。
なお、前方から斜めに伸びるシートステイは、ヘッドチューブに溶接されることで安定したステアリングに貢献するだけでなく、リアからの衝撃も緩和するなど、機能面においても優れた役割を果たしています。
で、最新の仕様は?
サクっと概要をご説明したところで…
冒頭でもお伝えしたとおり、今なお販売中のRSですが、気になる最新の仕様についてご紹介します。
多くの方にRSの魅力を再発見していただこうと、現在は異なる3つのモデルをご用意しています。
■フラットモデル 希望小売価格 ¥208,000-(税込)
女性や小柄な方、ビギナーの方にも扱いやすいクロスバイク風のモデル。
フロントギアの歯数は53T、リアカセットの歯数は11-25Tと、主に平地&高速での走行をメインとした用途に向いています。
フレームセットの値段(189,000円)を考えれば、そのまま乗り出せるこのフラットモデルは驚愕の価格設定です💦ただし、限定2台のみの販売となりますので、気になる方はお早めに💨
■ドロップモデル 希望小売価格 ¥350,470-(税込)
メインコンポにシマノ105をチョイスしたドロップモデル。より本格的な走りを楽しみたい方に最適です。
■フレームセット 希望小売価格 ¥189,000-(税込)
お好みのパーツで、自分だけの1台を仕立てる玄人向けのモデル。カラーオーダー(別途追加料金にて可能)を選択すれば、まさしくオンリーワンなRSが実現します。
カラー
標準カラーはセラミックホワイト、黒鉄スパークマット、ウォームグレーの計3色。この他追加料金により、ご希望の色に塗装できるカラーオーダーが選択できます。(選べるカラーはこちら)
サイズ
カラーにより選択できるサイズが異なります。詳しくは仕様書にてご確認ください。サイズとモデルごとの適応身長は以下のとおりです。以下のデータは目安であり、個人の体格により変化しますので、あくまで参考数値としてご確認ください。詳しくはタイレル取扱店舗にお問合せください。
[参考]適応身長 | Mサイズ | Lサイズ |
フラットモデル | 150~175cm | 160~185cm |
ドロップモデル | 165~175cm | 175~185cm |
RSに関するQ&A
Q.スタンドは取付け可能ですか?
当社では専用のスタンドはご用意しておらず、また取付け台座もございません。
700cロード用でなおかつ台座不要のタイプのスタンドを別途お買い求めください。
Q.標準カラーとカラーオーダーの場合、納期はどの程度違いますか?
標準カラーの場合は工場出荷まで約1~2週間となります。カラーオーダーの場合は受注後、2ヵ月程度お待ちいただきます。(塗装会社の繁忙状況によりさらにかかる場合があります)なお店舗到着後、お渡しまでのお時間は店舗により異なります。詳しくはタイレル取扱店舗にお問合せください。
Q.仕様は変更可能ですか?
ドロップモデルについては、体格に応じてハンドル幅とステム長が変更可能です。詳しくは仕様書をご覧ください。
Q.実車を見ることはできますか?
期間限定にて、本社ショールームでフラット、ドロップ両モデルの展示車をご覧いただけます。(サイズ感をお確かめいただけます。詳しくは販売総務部/TEL.0879-49-1613 までお問合せください)
最後に…
もともとの球数が少なく、市場で見ることもあまり、いやほぼない、ある意味都市伝説的な”幻のタイレル車”。それゆえ、道行くサイクリストからの注目度もハンパないのがRSです。
タイレル信奉者、個性を大切にする方、目立ちたい方、なにかとレアものに惹かれる方、にはドンピシャな1台といえます。とにかく、ピンときたそこのあなた、運命の出会いかもしれませんよ。そうそう、実はタイレルの創業者も、スタッフもRSのオーナーの一人です🚲
ちょうど8年ほど前の、RSでのサイクリング記事(その1)
ちょうど8年ほど前の、RSでのサイクリング記事(その2)
デザインのインパクトについつい目を奪われがちですが、スカンジウム合金による軽量な車体、ステアリングの安定感など、性能にも秀でたRS。通勤などの日常使いからツーリングまで、幅広くこなせるオールマイティなロングセラーを、ぜひご検討ください。
Written by かま兄