Tyrellは自社工場を持ち、製造開発から製造、販売、ユーザーサポートを自社で行う、世界的に見ても数少ない自転車メーカーです。
その中でも特に、自社工場で製品開発を行っていることが私たちのこだわりであり、Tyrellならではの自転車を生み出す起点でもあります。
設計・試作・評価のサイクルを何度も繰り返し、私たち自身が納得のいくフィーリングの自転車へと一歩ずつ近づけていきます。
そのためには、試作から評価、そして設計変更しすぐに再試作できる私たち自身のフィールドが不可欠でした。
自社工場を持つことにより、開発から製造までを一貫して管理し高品質な製品を生み出すだけでなく、社内で何度も試作を繰り返し最終化した設計をもとに、海外のパートナーに製造を委託し完成度の高い製品を低コストで生み出すことにも繋がります。
企業規模の小さな私たちにとって、自社工場を持つこと、そしてこれからも維持していくことは大きなチャレンジです。
それでも、お客様に感動を与える、エモーショナルな体験をもたらす自転車づくりのため、私たちは挑み続けます。
Essential of Tyrell
感動を与える、発想豊かなバイクづくりに挑む
スラントフレーム・テクノロジー
Tyrellのデザインアイコンとして親しまれているスラントデザインフレーム。
2本の傾斜したチューブが、フレームの両サイドに配されるその形状は、伸びやかで美しい外観が特徴です。しかし、スラントデザインフレームは造形の美しさを狙っただけではありません。
小径ホイールの自転車はその特性上、ロングホイールベース・低重心が必要であるとTyrellは考えています。通常のダイヤモンドフレームではロングホイールベース化による横剛性や捻り剛性の低下、低重心化によるヘッド剛性の低下などのデメリットが発生します。
それらのデメリットを克服し、ミニベロの走行性能を一気に高める事が可能なフレーム設計技術を、Tyrellではスラントフレームテクノロジーと名付け、その設計技術で作られたフレームを、スラントデザインフレームと呼んでいます。
ロードバイクなどで使われているダイヤモンドフレームは、フレームに加わる力に対して1つの三角形だけで抗うことになり、フレームの部材が持つ性能に頼る所が大きく、ミニベロや折り畳み自転車の様な複雑な設計要件を満たすことが困難でした。
スラントデザインフレームでは、ダイヤモンドフレームに2本のチューブを追加しただけのシンプルな構造ながら、実に11個の三角形をフレームが描く事になり、沢山の三角形で構成される構造物としての強さでフレームに加わる力を制御することが可能となります。
スラントフレームテクノロジーで得られる高い基本性能は、ミニベロや折り畳み自転車の弱点を克服し、その走行性能を一気に本格的なスポーツバイクへと引き上げることが出来る、小径車設計のブレークスルーと言っても過言ではありません。
スラントデザインフレームが持つ美しさは、性能を追求した結果得られた、機能美そのもの。
その普遍的な美しさをお楽しみください。
カドワキコーティング社 パウダーコーティング
カドワキコーティング社とのコラボと匠色の誕生ストーリー
美しい佇まいにまでこだわるTyrellにとって、塗装の品質も大事なコンセプトの一つです。
カドワキコーティング社は、パウダーコーティング(粉体塗装)をいち早く導入し、高い技術で業界をリードする粉体塗装の第一人者。
日本のものづくりの価値を追求するTyrellとカドワキコーティング社とのコラボレーションは長く、
これまでに高品質な量産カラーや特別なカスタムカラーをお客様に届けてきました。
パウダーコーティングとは、パウダーをフレームに吹き付けて電気の力で吸着させ、熱処理を施し完成させる塗装方法です。
塗膜を形成させる 有害なVOC(揮発性有機化合物)を排出しないため、環境にもやさしい塗装として知られており、形成された塗膜は、耐久性、耐候性、防錆性、耐チッピング等の塗膜強度に優れ、製品の寿命を格段に向上させるのが特徴です。カドワキのパウダーコーティングは前処理工程から細心の注意が払われ丁寧な仕事が施されます。アルミナブラストでは、下地としてのフレームの表面が均一で滑らかに整えられます。 それによりパウダーの密着性が高まり、仕上がりに大きな差がでるのです。
また、ブラスト、パウダーの吹付けの各工程の前には独自のノウハウによるきめ細かいマスキング処理が施されます。
経験豊富な職人によるパウダーの吹付け、徹底した温度管理による熱処理、仕上げの細かなバリ取りなど いくつもの工程を経て、
カドワキコーティングのパウダーコーティングは完成します。
このパウダーコーティングで車体のカラーをカスタマイズするカラーオーダーも一部の車体でご用意しております。
「匠色takumiiro」と「せとしるべルビーレッド」
Tyrellの故郷、香川県の高松港には、「せとしるべ」の愛称で地元の人々に愛されるガラスレンガの灯台があります。暗くなると内側に明かりが灯り、灯台全体が真紅に輝く美しい灯台です。
その「せとしるべ」をモチーフにした、パウダーコーティングによる、タイレルの新たなブランド・アイコンカラーが「せとしるべルビーレッド」です。 「せとしるべ」は内側に明かりが灯っていないときは「ダークレッド」、内側に明かりが灯ると「鮮やかなレッド」に全体のカラーが変化します。この情景を塗装の単色だけで再現することは不可能でした。試行錯誤を繰り返し、ベースカラー(ローズピンク)と半透明のクリア(ダークレッド)を塗り重ねることで、光の強さと入射角の変化に応じて、上層と下層の色が混ざり合い色彩が変化する特殊な手法を開発しました。光がまっすぐにあたる部分は鮮やかなルビーレッドに輝き、光が斜めにあたる部分は深いダークレッドに表情が変化。真紅のラインが一筋、フレームに浮かび上がる様子は、「せとしるべ」そのもの。
こうして完成したオリジナルカラーが「せとしるべルビーレッド」です。このカラーの特長である、ベースカラーとトップコートが混ざり合う色彩表現は、フレームの微細な凹凸によるトップコートの厚みの変化で、色むらが発生してしまうという難しさをはらんでいます。一般的なフレームの品質では色むらが発生してしまうことから、フレーム表面には通常よりも高い平滑性が求められます。溶接部分や曲げ加工部分を手仕上げでスムージングしているTyrellのフレームなら、色むらが発生することはありません。「せとしるべルビーレッド」は、パウダーコーティングのパイオニアであるカドワキコーティング社の高度な塗装技術と、Tyrellの高いフレーム品質が無ければ実現できませんでした。
Tyrellの自転車は大量生産で生み出される工業製品というよりも、「職人の手仕事による工芸品」に近い特別な製品です。そのことを、多くのお客様にご理解いただくために生み出した、他には無い特別な色彩表現を私たちは『匠色takumiiro』と名付けました。
TyrellのFCX、FSX、FXといったモデルは、カドワキコーティング社の美しい塗装によって、そのこだわりが完成します。